【vol.1】玉名女子高校吹奏楽部・米田真一先生

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vol.1
  米田 真一(玉名女子高等学校 吹奏楽部 顧問/熊本県吹奏楽連盟副理事長)

玉名女子高校吹奏楽部の情感豊かなあたたかいサウンドはいかにして生まれるのか…。
音楽作りやマーチングの指導について、顧問の米田真一先生に直撃しました!

 

『歌心』が聴こえるようなサウンドを目指して

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―まずはDVDの内容について教えていただけますか?
 今回は玉名女子のサウンドづくりということで、どのように本校のサウンドが作り上げられているのかをご紹介しています。音楽の捉え方、音楽の作り方、音楽の感じ方を中心に、毎日の基礎練習をどのように行っているのか、それをどう実践として活かしているのか、そういうシーンを皆さんにお届けできればと思います。また本校はマーチングも両立しておりますので、そのマーチングがどのように作り上げられているのかもご紹介しています。

―米田先生が目指しているサウンドとは?
 合奏室の壁にもあるのですが、『人間らしい』という言葉は、一つのキーワードですね。人間らしい=人の声に近い、そして人の声である以上は歌声が聴こえてくるようなサウンドを、生徒には目指そうと日常からよく言っています。
 あとは聴いている相手が人である以上、人に親切であり、人に理解してもらうことが重要ですよね。音楽の中には標題的に生徒たちも捉えやすく作ってあるものと、そうでない曲がありますので、自分たちで物語を作ったり、情景を考えたり、配役を作る中で、より自分たちに身近に、音楽に有機性を持たせた形で演出をすることで、しっかりと動機づけをして音楽づくりに入ることができます。それが玉名女子高校の音楽づくりの特徴ですね。

―DVDの中でも、『歌心』のある演奏をたくさん披露してくださっています。
 私は小学校の頃に少年少女合唱団に入っていまして、歌を歌うというところから音楽に入った人間なので、音楽は歌が原点であると思っているんです。中学校から大学までは器楽を勉強しましたが、吹奏楽の指導を行う上で、管楽器や打楽器の技術的なことを考え始めると、音楽で一番大切な歌心から遠ざかってしまうことに気付くようになりました。やはり、歌うことが最大の音楽表現であり、原点です。ですので、吹奏楽でもマーチングでも日常から歌うことをみんなで行うようにしています。

 

コンクールは毎回命がけ。
やる以上は言い訳はしたくない

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―撮影でも、一人一人が短い時間の中で質を重視して練習している姿が印象的でした。
 米田先生が練習や部活動の運営について、気を付けていることは何でしょうか?

 いつも朝7時45分に合奏室に集合しているのですが、これは練習のためではなく、練習の準備や環境を整えるということで、この時間で合奏室の掃除と楽器の手入れを行っています。以前はお昼練習をやっていた生徒もいるのですが、特にここでも練習はしていません。練習は放課後の16時過ぎから19時までの短い時間の中でしています。
 我々の時代の部活動と言いますと、1年生は一番動かなければいけないし、一番気を使わなければいけないし、一番冷や飯を食う状態があったかと思うのですが、うちではこれをひっくり返しています。逆に3年生が一番きつい思いをして、1年生が一番優遇される部活動というのを心がけていて(笑)。おかげで部員がやめたり、挫折することが随分減ってきたかなと思います。ようは一番弱い人間に、一番つらいことを最初からさせるというのはどうかなということですよね。それを時代の流れの中で感じるようになりました。それに、3年生は卒業した後は社会人になるわけですから、一番つらい思いをした後に社会人1年生になっていく方がよりスムーズに活躍ができるようになるのではないかなと思っています。本校は3年生が一番つらい1年間ですね。

―米田先生はコンクールについてどのように考えていますか?
 もう20年余り、この学校で指揮者の立場でコンクールに出場していますが、一奏者として学生の頃に出ていたコンクールとはやはり違いますね。何が違うかというと、責任が全然違いますし、かけている時間が違う。かなりの時間をかけて音楽を作っていかないと出来上がらないということで、コンクールに出ることについては、正直命がけです。やる以上は言い訳はしたくないというのが自分の中にあるので、「もう少しやれば出来たな」とか、「今年は40%くらいで県大会で金賞をとれるくらいで作ろう」とか、そういう音楽に失礼なことは絶対にしてはいけないかなと。「出る以上は100%、出ないんだったら0%」といつも生徒には言っています。
 100%の力を費やすには覚悟が必要です。「一応先輩たちも出ていたので私たちもコンクールに出ようかと思います」という程度の心構えでは、いい音楽は生まれないですから。「全員が100%の力を出し切って演奏できる、そういうコンクールになるなら出てもいいよ」と生徒には言っているんですが、ようは退路を断つ、後での言い訳をしないでいい覚悟が出来るまでは、生徒たちはコンクールに出るべきではないし、出た後にそういう涙を流させたくない一番にあるんですね。それは生徒たちには直接は言いませんが、コンクールに出る以上は退路を断って、後悔しない演奏をする覚悟を持ってコンクールに出たいと言いなさいと生徒たちには伝えたいですね。

 

『大嫌い』だったマーチングが
『大好き』になった理由

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―玉名女子と言えば、躍動感のあるマーチングも魅力の一つですね。
 実は私自身、以前はマーチングがあまり好きじゃなかったんです。というのも動きありき、音は外や広い場所で演奏するのでフォルテで演奏する、太鼓は力いっぱい叩く…というように、どちらかというと体育会系の集団演技的なもので、そこに音楽は存在しないという捉え方をしていて。でもある方に「音楽を最大限に活かせる動きをすればいい」と言われ、マーチングの考え方が大きく変わりました。
 例えば、メロディよりも少し抑えて演奏しなければいけない伴奏にあたる音は、楽器の向きを身体ごと横に向けてあげると、その音は静かに演奏することができる。そういう発想の転換を教えていただいたことで、マーチングって実はその場から座って音量の調整をして演奏するよりも、無理なく音楽を立体的に表現できるのではないかと考えるようになりました。それからマーチングがどんどん楽しくなってきて。今はマーチング練習でも座奏と同じメニューで練習しています。

―米田先生がDVDを通して伝えたいこととは?
 マーチングの普及はどこの県でも、どこの支部でも行われていますが、非常に難しい状況です。おそらく、以前の私と同じように、音楽とかけ離れたところにマーチングが存在していると解釈している学生や指導者、一般の方がまだたくさんいらっしゃると思うんです。その垣根を取り払って、『マーチングは音楽であり、スポーツではない』ことをうちのバンドから発信していきたいですね。DVDを見て、実はハードルは高くなかったんだと感じていただければ最高の喜びですし、マーチング=吹奏楽なんだと、早く皆さんに気付いていただきたいです。

 

PROFILE
1969年生まれ。熊本県出身。1988年、武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科(ホルン専攻)に入学。在学中、故田中正大(元NHK交響楽団主席ホルン奏者)に師事。1992年より玉名女子高等学校に音楽科教諭として着任し、吹奏楽部を指導。全日本吹奏楽コンクール5回(2回の金賞受賞)、全日本マーチングコンテスト14回(12回の金賞受賞)、全日本アンサンブルコンテスト5回の出場を果たし、全日本吹奏楽連盟より4回の特別表彰を受ける。また、玉名女子ウインドアンサンブル(卒業生の吹奏楽団)の音楽監督も務め、平成23年度には3年連続全日本吹奏楽コンクールの出場を果たし、特別表彰を受ける。

 

 

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