【vol.3】指揮者・田久保裕一先生

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vol.3
指揮者 田久保裕一

12年間、千葉県習志野市にて小・中学校の音楽教師を務め、プロの指揮者に転身。
全国各地で指揮法講座を数多く開催し、とことん現場目線の分かりやすい指導法とユーモラスな語り口が魅力の田久保裕一先生。
教育現場で絶大な大人気を誇る田久保先生に、思わず「見たくなる」ような指揮の極意をお聞きしました。

 

指揮者は、聴衆に感動を与えるための
「道先案内人」

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―DVDの中で、小・中学校の先生方3人へのレッスン風景を収録しましたが、先生方の指揮はいかがでしたか?
皆さん、個性があって良かったですね。でも、もっと自分を表現しても良かったと思います。指揮は自分では表現しているつもりでも、見ている人にはなかなか伝わってこないものです。右手でテンポや拍子を取りながら、左手で表現を創り上げていく、体全体で感動を呼び起こしていってほしいですね。
また、指揮は方向性を示す、自分の方に音を寄せてくることが大事になってきます。指揮者は演奏者を気持ちよくさせて、聴衆に感動を与えるための道先案内人です。怖がらずに、どんどん子供の前に出て体験を積んで幅広い表現ができるように工夫していってほしいですね。

 

―指揮者にいらないもの・いるものとは?
指揮者にいらないものは「迷い」「遠慮」「羞恥心」です。是非、恥ずかしがらないで指揮をしていただきたいですね。
そして、いるものの一つ目は「決断力」です。指揮をしていて事故が起きるときがあります。ずれたり、誰かが間違えたり…そういうときにケアをしてあげる、とっさの判断が大事です。
先ほど遠慮はいらないと言いましたが、「配慮」はいります。最後は「忍耐力」。自分に対する忍耐力はもちろん、演奏者に対する忍耐力も必要です。是非この3つをお忘れなく頑張っていただきたいと思います。

 

指揮には「人間性」や「人生観」が出る

M58-1-5 ―指揮以外に、ステージで気を付けたいことはどういったことでしょうか?

ステージに出て行くときの姿勢、歩き方、足音もステージマナーとして是非気を付けていただきたいですね。それと、お辞儀の仕方も堂々とゆったりとやっていただければと思います。よく前奏は右手で、歌が入ったら両手でと言われますが、前奏も音楽づくりにとってとても重要ですので、ときには両手で振っていただいて構わないと思います。
そして、やはり演奏する前に、しっかりと演奏者のことを見て準備が出来ているか確認することも大事です。演奏が終わった後もすぐに指揮棒を下ろさないで、終わったときの余韻を楽しむくらいの余裕があったほうがいいですね。ステージマナーには是非気を付けてみてください。

 

―校内合唱などでは生徒さんが指揮をすることも多いですが、先生が指揮を振る意義とは?
指揮は多種多様で難しいですが、その人の「人間性」や「人生観」が出るものです。個人的な考えですが、演奏会、発表会や式典のときに小学生に指揮をさせることは私は反対なんです。
良く言われるのが、子供が主役だから先生は指揮もしない、ピアノも弾かない、脇で見ているだけという光景を見ることがありますが、音楽を作る上で指揮者はとても大切ですし、指揮者はお客様に背を向けているわけですから、主役ではありません。
 歌う子どもたちが主役なので、学校の先生が指揮をしてほしいと思います。そのことで演奏表現が広がり、子どもたちの演奏がぐっとまとまるのではないでしょうか。

 

「見させる」のではなく、
「見たくなる」ような指揮を目指して

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―田久保先生は講習会も大人気ですが、受講者の方から良く聞かれるお悩みはありますか?
そうですね。よく先生方から「子どもたちが指揮を見てくれない」という声をお聞きするのですが、「見させる」や「見てもらう」のではなく、子どもたちが「見たくなるような指揮」をしてほしいなと思っています。
では、その「見たくなるような指揮」とはどういうものかと言うと、やはり変化のある指揮ですね。強弱や表情の変化がないと、ただ拍子を振っていても、子どもたちは見てくれません。是非メリハリ変化のある指揮を心がけて見させるのではなく、見たくなるような指揮を心がけてみてください。

 

―最後に、指揮をされる方にアドバイスをお願いします。
音楽においては「頑張る」という言葉はあまり適切ではないと思います。もちろん基礎練習は頑張るんですが、合唱のときに頑張っていたとしても、人の心は癒されません。音楽は頑張ったその上の余裕がないと、やはり心に伝わってこないものです。
指揮者だけが舞い上がっていて、周りの音が聞こえなくなる状態によく陥りがちですが、頑張れ頑張れと音楽をやっていても、聴衆には癒しとしては伝わってこないものです。音楽の先に余裕が感じられるように演奏者にも訴えていっていただきたいと思います。頑張るよりもその上のゆとりが大切ということですね。

 

PROFILE
東京学芸大学音楽科卒業。指揮を伊藤栄一、伴 有雄、汐澤安彦、秋山和慶、カール・エスターライヒャー、ハンス・グラーフ、リヒャルト・シューマッヒャー、湯浅勇治の各氏に師事。1980年から12年間、千葉県習志野市にて小中学校の音楽教師を務めるかたわら、多くのアマチュアオーケストラを指揮。1992年に退職し、プロの指揮者に転向。これまでに主要オーケストラを指揮。また、全国のアマチュアオーケストラや合唱団の育成にも尽力している。全国各地で指揮法講座も数多く開催。日本指揮者協会会員。

 


 

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