【4】小平三中の新たな伝統を形作った『澤矢メソッド』と『心の絆』

LINEで送る

OZAWA-ICHIOSHI_topbur2

M64_ozawa

新天地での波乱に満ちたスタート

小平市立小平第三中学校(小平三中)は、2001年に全日本吹奏楽コンクールに初出場したのを皮切りに、2015年までの15年間で11回(途中、三出休みもあり)全国大会出場を果たした東京を代表する吹奏楽の強豪校です。

IMG_5125地図で見ると東京都の真ん中にある小平(こだいら)市。小平三中は住宅街の中にあるごく普通の公立校で、雨が降ると校内にはウシガエルが出現するのが《小平三中あるある》だそうです。

2014年4月、そんな小平三中に西武新宿線の線路の向こう側にある小平第六中学校から澤矢康宏先生が異動してきました。

歌手の平原綾香さんが中学生で吹奏楽部に所属していたときの顧問だったという澤矢先生。
2008年、2009年、2013年と小平六中を全日本吹奏楽コンクールへ導いた名指導者です。

《伝統ある強豪校+名指導者》というと、もうそれだけで成功が約束されているかに思えるかもしれません。
しかし、そう簡単にはいかないことを、おそらく実際に吹奏楽部の顧問を経験した方ならお分かりになるのではないでしょうか?

IMG_6580ozawa

いきなり他校からやってきた先生を、生徒たちはすぐに受け入れるわけではありません。

なかなか心を開こうとしなかったり、戸惑いを露わにしたり、中には反抗をする生徒もいるでしょう。
生徒たちの気持ちがつかめず、先生も苦しい日々を過ごすことになります。
お互いの思いがすれ違い、ぶつかり合うこともあります。

小平三中で澤矢先生を待っていたのも、それに近い状況でした。
しかも、中学校の教諭には授業や部活動以外にもやらなければならない仕事が山のようにあります。

生徒との距離を思うように縮められない毎日に、澤矢先生は頭を抱えたといいます。
もうすべてを放り出したいとまで思ったこともあったそうですが、生徒たちのため、諦めることはしませんでした。

Still0802_00006

 

名指導者が心がけた『伝統との融合』

澤矢先生には心がけていたことがあります。

それは、自分のやり方を一方的に押しつけないこと。

澤矢先生には、小平六中を全国レベルまで成長させた指導ポリシーやメソッドがありました。
一方、小平三中にも全日本吹奏楽コンクール常連校として過去から受け継がれてきたやり方がありました。

澤矢先生は「自分はこうしたい、こうしたほうがいい」という思いをぐっとこらえて、まずは生徒たちのやり方を受け入れるようにしました。
そして、徐々に生徒たちが心を開いてきたところで、自分なりのメソッドを練習に導入していったのです。

Still0616_00003 Still0802_00030

とはいえ、それには想像以上に時間がかかりました。

1年目の小平三中は全日本吹奏楽コンクールに出場し、銀賞を受賞。
充分に立派な成績ですが、澤矢先生は「生徒たちの持っている実力を出し切らせてやることができなかった」と悔いていました。
夏になってからは生徒とのコミュニケーションも充分にとれるようになり、部内が一つにまとまってきていただけに、「もっとできた」という思いが残りました。

2014年の全日本吹奏楽コンクールが終わった後、澤矢先生は1年間かけて自分の方法論に則って生徒たちを指導していきました。

それが、この吹奏楽指導DVD小平第三中学校 ・ 澤矢康宏先生のゼロから積み上げる「極上サウンドの作り方」に収録されているメソッドです。

 

 

 

感動させる音楽は
『徹底した基礎作り』から生まれる

小平三中というと、柔らかくて豊かな極上サウンドが最大の特長です。

このDVDを見ると、それを作り出すために日々行われている練習方法がわかります。
オザワ部長も収録に立ち会いましたが、ずっとステージで聴いてきたあの素敵な音楽はこうやって生み出されてきたのかと初めてわかり、非常に感慨深かったです。

澤矢先生の指導のポイントをひと言で言うなら、「基礎の徹底」です。

基礎練習というと地味なイメージがあり、生徒たちもあまり好んで取り組まないため、基礎練習は少なめにして合奏を中心にする先生もいらっしゃるでしょう。
強豪校の中にも練習は合奏メインというところもありますが、オザワ部長が取材してきた多くの名指導者たちは、観客(もちろん、コンクールの審査員も含みます)を感動させる音楽を作り出す上での「基礎練習の重要性」を説いていました。

Still0802_00004建物でも一番下に作られる構造を「基礎」と呼びます。

基礎はコンクリートの塊に鉄筋が埋め込まれたそっけないものです。
しかし、弱々しい基礎の上にゴージャスな建物は作れないですし、もし作ったとしても傾いたり壁にヒビが入ったりしてしまうでしょう。
立派な建物を作ろうとすればするほど、地面にしっかりと根を張るような基礎が必要になるのです。

音楽に関して言えば、建築よりもさらに基礎が重要かもしれません。
基礎練習で身につけたものが、音色やハーモニーの美しさ、倍音の豊かさ、ピッチや運指の正確さなど、素晴らしい音楽を構成する主だった要素になっていくからです。
基礎がしっかりできていれば、コンクール曲だけでなく、定期演奏会などで取り上げられるポップス曲などのクオリティも上がりますし、1つの曲が仕上がるまでの時間も短くなります。

 

基礎練習にも様々なやり方が存在していますが、小平三中のような上品で柔らかいサウンドを目指している指導者の方には、ぜひ澤矢先生のメソッドを取り入れていただきたいと思います。

また、吹奏楽部員にとっては、小平三中の生徒たちが練習に臨む様子が良い刺激やお手本になるでしょう。

目指せ、極上サウンド!

Img0262

 


 

ozawa_ichioshi02

Still0802_00000
①生徒だけで完了するチューニング

中学校の先生は多忙です。
コンサートマスター/ミストレス、セクションリーダーが先頭に立ってチューニングを完了できるシステムができている小平三中は、先生の負担が軽減されるだけでなく、生徒の自主性も養われます。

 


 Still0802_00014

②難曲の中に活かされる基礎

《復興》や《ウインドオーケストラのためのマインドスケープ》といった難しい曲を仕上げていくときも、澤矢先生は部分を取り出しては、基礎練習と同じ方法を当てはめて指導します。
基礎がそのまま曲に活かされていることが実感できます。

 


 Still0802_00010

③生徒たちの驚異の集中力!!

基礎練習が長く続いても生徒たちの集中力が高いままなのは、生徒たちが基礎練習の意味や重要性をよく理解しているからです。
なお、小平三中は部員数が50名前後なので、入部したばかりの中学1年生も即戦力。
わずか数カ月で難曲を演奏できるようになるのも、基礎や自主性のたまものでしょう。

 


 

澤矢先生×オザワ部長 スペシャル対談

↓澤矢先生×オザワ部長 スペシャル対談のダイジェスト版はこちら↓

 

 

ozawa-mita

 IMG_6576 IMG_6588

いよいよ小平三中のDVD撮影が始まります!
あの極上サウンドは、どんな練習によって生まれるのか…オザワ部長も興味津々です!

IMG_6587 IMG_6570

綿密な打ち合わせを行った上でカメラの位置などを決め、撮影を行っていきます。
生徒主体のチューニングでは、別室で澤矢先生とモニターチェック!

Still0802_00018ozawa

「音楽は細部に宿る」とばかりに、難しい箇所も妥協せずにトライアル&エラーを繰り返すのが澤矢先生の指導!
その先に美しい音楽が生まれてくることが分かりました!

 Still0802_00005

実は今回、オザワ部長もDVDに出演させていただいております!
澤矢先生との対談では、赴任した当時の苦労や葛藤、コンクールについて、根掘り葉掘り聞いちゃいました!
各練習の後には、練習で感じたことをまとめた『オザワ部長の練習メモ』も収録されていますよ~

IMG_6569 IMG_6555

当日は保護者の方のリクエストで、色紙に応援のメッセージも書かせていただきました。
澤矢先生と部長、副部長さんと例のポーズ!

IMG_6598

澤矢先生、生徒の皆さん、本当にありがとうございました!! これからも応援しています!

 

 

■オザワ部長(吹奏楽作家)PROFILE
神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部卒。吹奏楽の楽しさを伝えるために書籍、雑誌、ウェブサイト、ラジオ、SNSなどのメディアで日夜活動中。著書に『みんなのあるある吹奏楽部』、『翔べ!私たちのコンクール』、『あるある吹ペディア』、『吹部ノート』など。最新刊はカリスマ指導者・藤重佳久先生との共著『きばれ! 長崎ブラバンガールズ』。

 

 

ozawa-pickup

【1】Let’s Get Funky!! 武商サウンドが吹奏楽を変える?!

【2】イチカシは一日にして成らず!! 緻密な演奏の舞台裏に迫る!

【3】洗練された明るい高輪台サウンドを作り出す㊙練習法とは?

 


 

小平三中・澤矢先生の指導法に迫ったDVDは…

M64_facebook

shosai_btn

 

 

 

 

トップページへ戻る