【レポート】~日本一ファンキーな吹奏楽部~ 北陸代表・武生商業高校『絆で掴んだ全国大会への切符』


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全国の中でも最も速く全日本吹奏楽コンクールの出場校が決まる、北陸吹奏楽コンクールが8月12日~14日に行われ、『日本一ファンキーな吹奏楽部』として注目を集めている武生商業高校吹奏楽部が北陸代表に選ばれました。

今回は、同部を率いる植田薫先生にお話をお聞きしました!

 

数々のドラマが生まれた全国出場までの道のり

Still1102_00008――4年連続4回目の全国大会出場、おめでとうございます!
ありがとうございます。今年は昨年以上に数々のドラマがあったので 、ホッしているというのが正直な気持ちです。

今年は歴史的な猛暑でしたが、うちの学校は合奏室に冷房がなくて、毎日一人ずつ熱中症で倒れたり、体調不良で早退や2・3日 休むことを余儀なくされたり…。
また、今年は自由曲にアダム・ゴーブ作曲の「メトロポリス」を選んだのですが、指を回すのが難しいとてもテクニックがいる曲のため、腱鞘炎になる子もいて、ピアノの子は整骨院に通いながら頑張ってくれました。

練習方針をめぐって生徒の中で意見が対立したときも、ミーティングや話し合いを通して成長してきたのですが、金沢で行われた北陸吹奏楽コンクールの前日の練習では、動きはいいのに、どこか意識が足りない部分が見受けられたんです。
本当はガツンと叱りたかったのですが、逆に『これでは武商の目指す音楽ができないんじゃないかな』と静かに語りかけました。それにハッと気づいて、たくさんの部員が涙を流して反省してくれました。

コンクール当日の直前の演奏では、全員の音や気持ちが寄ってきたというか、本当にグッとまとまったところがあって。
出てくる音がカッコよくて楽しくて、振らずに聴いていたいなと思ってしまったくらいなんです。
こんなことは初めてだったので、生徒たちに言ったら、「振ってくれなきゃダメです!」と叱られてしまいました(笑)

本番はアドレナリンからか神経が冴えて、全員の音も良く聴こえて、いい流れで楽しく演奏ができて、これでダメならしょうがないと思うほど手ごたえがありました。

 

「どこのサウンドとも違う」という自負がある

――今年の自由曲の「メトロポリス」は全国大会で初めて演奏される記念すべき曲となりますね。この曲を選んだ理由を教えてください。

うちらしいスピード感とグルーヴ感を生かせる曲ですよね。今回は自分自身で探して選曲したのですが、4ビートのジャズのリズムに乗って、ランニングベースが出てくる…シャープでモダン、そしてとてもコンテンポラリーな、うちにピッタリな曲だなと思ったんです。
Still0104_00013しかも今まで、日本ではシエナ・ウインド・オーケストラくらいしか演奏したバンドがいないというのも大きなポイントでした。
全国大会には本当に素晴らしいバンドがたくさん出場するので、差別化を図るための選曲です。どこのサウンドとも違うものになったという自負がありますね。

 

――現時点での課題はどういったところでしょうか?

今年は全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品に選ばれた島田尚美さんの「焔(ほむら)」を課題曲に選んだのですが、精度の部分で足りないところが多く、本番では楽しく演奏できたのですが、録音を聴くとまだまだで。
ホールや合宿ではうまく聴こえても、違う会場でどう聴こえるかが不安なところがあるので、これからさらに突き詰めて精度を磨いていきたいと思っています。その上で、本校なりの解釈を加えて、個性を強調していきたいです。

あとは自由曲ですね。うちにしかできないことは分かっているんです。
オーディションを終えた時点ではまだまだで、支部大会を経て、ようやく楽しめるようになってきた段階ですね。
今は完全な丸でもない、三角でもない、オニギリくらいなので(笑)、ここの精度を上げていかないとダメですね。全国までにもう一度オーディションをやり直すつもりです。

 

「自分たちでもできる」という経験を積み上げてほしい

――最後に、全国大会に向けて抱負をお願いします。

昨年は福井の高校としては16年ぶりとなる銀賞をいただき、一つ一つステップアップしてきていますので、その上を狙って、さらに厳しい作りこみをして、気持ちをまとめていきたいと思っています。

そのためにはいくらでもぶつかっていいと思うんですね。ぶつかることでお互いを理解して、意見を言い合って仲を深めることができますから。

でも結果が出ないと、自信を深めることはできないんです。今の子たちも偉大なOBを超えられないと悩んでいますが、「私たちでもできるんだ」という経験を支部大会で一つ積み上げることができたと思うんです。
ですから、さらに自信を持ってやってほしいですね。

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先生は直接的に私たちに課題を与えないところが良いと思います。何でもかんでも言うのではなく、自分で答えを見つけ出すのは大事です。(3年・ファゴット)武商に来られてから怒らない指導をすることを心がけている植田先生は、音楽ができないことに対しては怒りません。もしカーッとなって怒っても「ちょっと怒りすぎちゃったかな」と考えられることがあると先生がおっしゃっていました。私たちは本当に大切にされているし、考えてくださっているのだと改めて実感しました。(3年・アルトサックス)先生はとにかく明るく、楽しい合奏をしてくれます。指導でもうまくなりたいと思わせてくれるので、先生の言葉ですごく頑張れます。大会が近くなったり、前日になるとパワーを注入して、みんなでパワーを吸収し合い、先生のパワーをすごくもらえます。先生は世界一ファンキーでかっこいいです。(3年・ホルン)Still1102_00009
先生はとても優しくて、でもダメなところはだめだとしっかり指導してくださる、とても生徒想いのいい先生です。合奏中は面白い話で合奏を楽しくしてくださいます。(2年・パーカッション)

コンクールメンバーを決めるオーディションのときに、部屋に入ると先生が話しかけてくださって少し緊張がほぐれました。合奏でハープを弾くことがあり、弾けなかったところが弾けるようになったことに気づいて、褒めてくださったことがとても嬉しかったです。(2年・ユーフォニアム)

失敗することが怖いということをとても怒られて、失敗を恐れないことが一番大事で、失敗してもいいと言われたお話がとても印象に残っています。(2年・サックス)

合奏中やオーディションの前など、私たちが緊張しているときに少し面白い話などをいってくださったり、場を和ませてもらいました。また、私たちのことをとても信頼してくださっていて、自分たちで色々計画したり、練習したりするので、自主性も身に付きますし、モチベーションも上がります。(2年・テナーサックス)

whats-takeshoband広々とした田園地帯と吉野瀬川を臨む福井井県越前市の校舎で、唯一無二のグルーヴ感あふれる音楽と、チームワークを磨いている武生商業高校吹奏楽部。

『日本一ファンキーな吹奏楽部』と呼ばれる所以は、その音楽性にあります。

多様なジャンルの音楽から影響を受け、バンドマンとしての顔も持つ植田先生は、「もっと吹奏楽を楽しく!カッコ良く!」をモットーに、クラシックの垣根を越え、吹奏楽にジャズやファンクを融合した自由度の高いサウンドづくりを実践。黒人音楽をベースとした編曲・演出で吹奏楽界に新しいジャンルを築いています。

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部員全員入ると、それだけでいっぱいになってしまう合奏室。冷房器具もなく、昨年は校舎の建て替え中ということもあり、工事の音が響く中での練習は、気力や根気、集中力を必要とされます。
そんな決して恵まれた環境とは言えない中、大切に使い続けている年代物の楽器を手に、顧問の植田先生の一挙手一投足、仲間の一音一音に集中して合奏を行っている姿がとても印象的でした。

彼女たちの原動力はどこにあるのか、なぜこんなにもイキイキと楽しそうなのか……

「指導者はどんなジャンルでもいいのですが、表現の楽しさや、音楽自体が持つ本来の楽しさ、こう表現するとこんなに素晴らしいんだっていう楽しさだったり、奥深さっていうのを生徒に、何らかの形で伝えなくてはダメだと思っていて。
たまたま私にはファンクという武器があったので、その楽しさを自分なりに伝えているのですが、クラシックだと、こういう音を目指したいとか、こういう響きを目指したい、こういう表現を目指したい、ポップス(ファンク)だと、こういうノリをしたいとか、こんな盛り上げ方をしたいなど、到達点を見えていないと生徒の成長は見えません。そしてその到達点がいかに素晴らしいかを生徒に是非伝えて欲しいです。
根本的に楽しい音楽をやっているので、表現することの喜びを知ってしまうと止められなくなるんですよね。私自身もそうなのですが(笑)」とおちゃめな笑顔で語る植田先生に、部員たちがなぜこんなにも先生のことが好きなのか、深く信頼しているのかが分かりました。

Still1102_00012全国大会の取材時も、たくさんの絆を感じる場面に出会えました。
中でも一番心に残ったシーンが、目標とする金賞ではなく、銀賞を受賞し、複雑な表情を浮かべる部員たちに植田先生がかけた一言です。その言葉で部員たちの表情が一変し、みるみる笑顔になっていく……植田先生が涙する部員たちにどんな言葉をかけたのかは、是非下の密着動画をご覧いただきたいと思います。

植田先生と仲間を信じて、音楽の持つ力を信じて、今年も見事4年連続4回目の全国大会出場を成し遂げた武生商業高校吹奏楽部に、今年も是非ご注目ください!

 

 


 

植田先生のファンキーな指導法がDVDに!!

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