【第7回】一年の“終わり”の時期に行いたいこと
第7回
「一年間の“終わり”の時期に行いたいこと」
2017年3月15日
今年度も終わりに近づいてまいりました。お元気でお過ごしでしょうか。
年度末は、特にお忙しいことと思いますが、お体くれぐれもご自愛ください。
さて、最近では教育現場の忙しさがやっと認知されるようになってきましたが、現状では常に何かに追われ、目の前のことを考えていくことで精一杯の日々だと思います。
本当に多忙を極める日々であるとは思いますが、一年間の「終わり」のこの時期だからこそ、是非少しでも時間を見つけて、一年間の色々な振り返りができたら良いかと思います。
時間や次の仕事に追われて
「やりっぱなし」になっているときに
「省察する」という言葉があります。
私もそうですが、日頃実践したことを省察する時間を大事にしようと考えながらも、つい、時間や次の仕事に負われ、「やりっぱなし」になってしまうことが多いように感じています。
そんな中、普段の活動を冷静に振り返ってみると、多くの実践を考案していたり、沢山のアイディアを生み出していたり、とても素晴らしい活動を行っていることに気がつく方が沢山いらっしゃると思います。
しかし、現状ではすぐに次のことに進まざるをえなくて、そんな宝物を放置しているような気もします。
実践したことを考察することで
今までみえなかったことが見えてくる
先日、私もある機会に恵まれ、「省察することの大切さ」を再確認してきたところです。
私は「自分自身を省察していく」、そして「互いの省察を伝えあう」ことをお勧めします。
そこには、多くの対話が関わってきます。
省察する空間では、互いに耳を傾けること、心をひらいていくこと、身体から話を受け止めていくことが大切になります。じっくり相手の話を聴こうとすることで、何気ない会話からも一つひとつの言葉を丁寧に噛み砕いて味わっていくことになります。
そして言葉やその中に含まれている意味を整理していくことに繋がり、理解も深まっていきます。
様々な関わりの中から、自分や相手が何を求め、何を目指していくべきなのか。じっくりと省察していくことで、今まで見えてこなかったことが見えてきます。
自分自身や色々な分野の人々との関わり、実践の振り返りのビデオから見た子どもたちの関わりやつぶやきなど、今まで何気なく経過してきた時間の中の一つひとつの場面を、じっくりと省察することで、何か新たな発見ができるかも知れません。
そこから見えてきたものは、まさに様々な分野の視点から省察していくことの深い意味なのだと思います。
自分自身を考察することは
次なる自分自身を見つけるきっかけになる
時間が確保されていれば、それだけ深く考えていけるのと同じように、じっくり丁寧に言葉や行為を見ていくと、何気なく発していた言葉に良い意味で違和感があります。
それは、すぐには結論のでない思考が始まっている表れではないでしょうか。
私たちは、言葉の重み、言葉の奥深くにある意味を問おうとするとき、言葉一つひとつを丁寧に扱おうとします。
その丁寧さから、考える脳が刺激され、行為一つひとつに意味を持ち始めるのだと思います。
指導者が省察や言葉を大切に扱うことは、これからの教育現場で益々必要とされることでもあります。
また、自分自身を省察していくことは、次なる自分自身を見つけていくきっかけにもなります。
省察を経てご自身の成長を感じ、一年間の疲れが少しでも癒され、新たなエネルギーが湧きあがってくることを祈っております。
小中高の校種にて教鞭をとり、各発達段階における豊富な指導実績を持つ。数々の授業実践の中で、幅広い音楽領域(歌唱・鑑賞・創作・器楽・伝統音楽など)の研究を進めている。歌唱・鑑賞教育を重視し、人間教育と関連させた音楽科教育や、小中連携研究のカリキュラム作成など様々な研究で業績を残している。また、前作のDVD「“おんがく”を愛する子どもを育てる!音楽授業における活動アイディア集」では、楽しみながら無理なく力をつけていく指導方法が支持され、好評を博した。雑誌『教育音楽』にも寄稿。2016年から、文京学院大学児童発達学科の助教に就任し、保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の養成に力を注いでる。
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