映像で学ぶ!小平第三中学校吹奏楽部の指導の極意
▼小平第三中学校 吹奏楽部編▼
まずは、DVD『小平第三中学校・澤矢康宏先生のゼロから積み上げる「極上サウンドの作り方」』を一緒に見ていきたいと思います。
ご存知の方もいるかもしれませんが、私は小平第三中学校の卒業生です。
私が在学していたころは、全日本はおろか、
その下の支部大会である都大会へも進出できないようなバンドでした。
ですが、そのバンドを長く指導されてきた先生のお力で、
一躍全国にその名が轟く名門校になりました。
ですが、その指導されていた先生も学校を去られ、数年少し下火になっていたのですが、
前任校の小平六中で輝かしい成績を修められた澤矢先生が赴任をされ、
あっという間に新小平三中のサウンドを創り上げられたと、
卒業生としてとても嬉しく思っています。
今回は、澤矢先生の創り上げる「極上サウンド」の秘密に迫っていきます。
私もこのDVDを見て初めて知った練習もたくさんありました。
是非ご紹介して、皆さんと一緒に勉強していきたいと思います。
▼澤矢先生の揺るぎない指導哲学の全貌は…
このシーンは、合奏の前に生徒だけで個人チューニングを行っている場面です。
おそらくどこの学校でもやっている部分かと思いますが、
見ていただきたい内容は、個人チューニングを行っている生徒たちの言葉です。
かなり明確に音程の高さ、低さ、それどころか1年生に関しては音色のチェックも行っています。
これは私は母校なので言えることなのですが、
小学校に金管バンドがないので、全員初心者で入部してきます。
その中で1年生もフルに使ってA部門のコンクールに出ているバンドなので、
こういった先生がいない時間での、生徒同士の確認、生徒同士のお互いの指摘のし合い方が伝統的に先輩から後輩へつながっている…
そういった伝統が感じられる一コマなのかなと思っています。
基礎合奏の中でアタック練習を取り入れている学校はあまり多くないのではないでしょうか。
アタックの形というのをどの先生方もこだわっていると思いますが、発音の形、音の処理、そこには明確な意図がなければなりません。
澤矢先生はおそらく初心者が多いということもあって、アタック練習を基礎合奏の中に取り入れています。
特にこのアタック練習に関して、バランスのABCDのグループやペアで行わせたり、とても工夫して練習をされています。
確かに私も自分のバンドを思い返すと、曲の中で指摘することはあっても、基礎合奏でアタックのみの練習に特化した内容は盛り込んでいませんでした。実は、もう私は取り入れています。
この練習では、澤矢先生は指揮台に立たず、後ろに立って指導されています。
私はここは大きなポイントだと思っています。
私もそうですが、普段の合奏指導は指揮台の上で、イスに座って、あるいは立って指導するわけですが、一歩離れて、スペースがなければ隣や、ときには生徒の間に立って見てみると、いつもとは違った聴こえ方、いつもとは違った目線で吹奏楽部全体をを見ることができると思います。音色の感触やサウンドもまた違ったように見えることがあります。
ちょっとしたことかもしれませんが、全体のサウンドを整えるという強い意志を持った先生のお考えが、私はこの行動に現れているように感じます。
また、DVDではバランス練習の際にアタックをリレーで行う練習もご紹介されています。
これは、指導者側の目線で確認しやすいというのもあると思いますが、子どもたちが体感するという点で非常に効果が高い練習だと思います。
私がこの練習を少しアレンジするとしたら、グループごとに丸くなってやってみてはどうでしょうか?
お互いの息のスピードを合わせるためにも、ブレスの間隔や発音のときに力んでいる、力んでいないというような生徒同士の指摘のし合える場ができるかなと思っています。
ここでは、アタックに関して、かなり細かく練習しています。
アタックは強い、きつい、そんなイメージがあるかもしれませんが、音が揃っているということが、あたたかく、柔らかく、広がりのあるサウンドをつくる第一歩だと思います。
音を揃えるということにアタックは付き物です。
私もDVDを見て、改めてアタックの重要性を感じることができました。
でました!澤矢先生の真骨頂です。サウンドづくりの秘訣を是非ご覧いただきたいと思います。
バランス練習はユニゾンでやるものですよね。ですが、澤矢先生は何とこのバランス練習に純正調のバランスを養わせる工夫を取り入れています。
動画をご覧いただくと分かる通り、生徒がその場で1度・5度・3度の役目を決めて、バランス練習を行っていきます。
B♭のスケールでやっていくバランス練習ですが、なんとその5度のバランス練習のみを行うという若干破天荒な練習です。
ですが、ハーモニーの練習の中で純正調を養っていくよりも、単音、ユニゾンで行っていきますので、理にかなっていると思います。
しかもその都度、担当する生徒が違いますので、全員がすべての調性を味わうことができます。
これはとってもシビアで、でも子どもたちはゾクゾクするくらい純正調の良さを理解していくのではないかなと思います。
ここで、私から純正調の取り方について、一つコツを教えたいと思います。