【第4回】こんなときどうする?吹奏楽部顧問のお悩み相談①
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第4回
「こんなときどうする?吹奏楽部顧問のお悩み相談①」
皆さん、こんにちは!
コンクール、定期演奏会と、目まぐるしい日々が続き、すっかりご無沙汰してしまいました!
埼玉県の川口市立青木中学校で吹奏楽部の顧問をしている、『ナカちゃん』こと中畑裕太です。
ご報告が大変遅くなりましたが、昨年10月末に初出場した全日本吹奏楽コンクールでは、残念ながら銅賞という結果に終わり、積み重ねることの難しさ、勝負することの難しさ、自分自身の力不足と全国大会の層の厚さを痛感しました。
結果は出ましたが、卒業した3年生にはお疲れ様と言いたいです。
本当に最高の12分間で、今までで一番の『復興』をセンチュリーホールで奏でることができました。振っているときは最高に幸せでした。
これから新しい2・3年生と出直して、また1年間頑張っていきたいと思います。
応援よろしくお願い致します!
今回は、吹奏楽部の指導でよくあるお悩みについて、今までの経験をもとに『これは効果的だった』と感じたことをお話ししたいと思います。
それでは、一つめのお悩みです!
Q.仕事が忙しくて部活動に出られない…
日々の仕事に追われて時間がない、部活動にも全然顔を出せないという先生方はとても多いと思いますし、私自身もそういう時期があります。
まずは子どもたち自身で運営できるようなシステムを作らなければいけないと思うのですが、「自分たちで考えてやってごらん」と手放しでやらせるのは、一見自主性と捉えがちですが、それは自主性ではなく、ただ自由なだけかもしれません。
私は必ず係を決めて、すべての生徒に責任のある仕事に就かせ、その中でリーダーを決め、部長、副部長という大きい役職はもちろんですが、必ず振り返りをさせています。
「今日はこれができて、こういう課題が残ったね」とか、「今日はうちの係はこんな仕事をした」というような振り返りをさせて、音楽室に貼ったり、ノートを作ってチェックをしたりしています。
ただ、そういったことはなかなか時間が必要なことなので、必ずそういう時に子どもたちに仕込んで起きたいこととしては、顧問との意思疎通ですね。
「今日は何があったか」「今日は何をしてほしいか」を子どもたちと話し合い、毎日の予定を顧問が決めるだけでなく、「その予定に対してパートで話し合って、細かくその予定の内容を決めてごらん」と言ってみたり、「今日は楽器を吹く前にこういうトレーニングをするから、そのトレーニングをするときの並び方は君たちで決めなさい」「内容のこの部分は君たちで決めてごらん」というように枠はあくまで顧問側が作っておきながら、子どもたち自身に考えさせ、お互いに意思の疎通を行いながら組織を作っていくことができるからです。
これはどんなに部活に行けなくても欠かさない方がいいかなと思います。自主性と自由の違いは明確にしておきたいものですよね。
Q.生徒が部活動に来ない、休みが多い…
子どもたちが全員揃うときはあまりないですよね。
私の学校も体調不調や家庭事情で欠席など、本当に家庭事情なのかと思うことはたくさんあります(笑)。
休みが多い部活が多い部活というのは、ルールがおろそかになってしまったり、子どもたち同士の中でやらなくてもいいんじゃないかと雰囲気も停滞してしまいますので、極力休みは減らしたいところですよね。
ここで私が先生方に提案したいのが暇を作らないことです。
例えば、オフシーズンに何曲くらいの曲を配っていますか?
私は3年生が引退し、新体制が始まって1ヶ月経つか経たないかくらいで、すでに12曲くらい配っています。
もちろん難易度は簡単なものから難しいものまであるんです。
また、スケールコンテストといって、子どもたち一人一人に課題を出しています。
おそらく休んでいる場合じゃないくらい忙しいと思うんですね。それが大事かなと思います。
何か事情があれば休むことは悪いことではないですし、体調が悪ければ無理してくることもないですが、「休んでいる場合はないな」「休みたくないな」と思えるような集団づくりや雰囲気づくりを行えば、おのずと子どもたちは休まなくなりますし、休んでいる子たちにも「早く体調を直して部活に行かなきゃ」、サボってしまった子がいたら「サボってしまった…どうしよう」というような後悔の念を与えます。
悩みを聞いてあげたり、休まないように個で対応することももちろん大切ですが、顧問の仕事の中には『集団を作る』ということが大きなウエイトをしめていると思いますので、休むのがダメなのではなくて、休んでしまえる部活動だからダメなんだと主眼を変えて、そこから休まないような雰囲気を作っていくことが大事かなと思います。
そのためには、さっきも言ったように、暇を作らない、本番を多くするなどが効果的ですね。
Q.自分の楽器をなかなか購入してくれない…
これは子どもたちというよりも、保護者の方ですよね。「2年生になったら」とか、「高校まで続けるなら」とか、「テストでいい点を取ったら」とか、何かと理由を付けて楽器を買ってくれない。
もちろん親も子どもたちを指導しなければいけない立場ですから、悪いことではないのですが、楽器を買ってもらうための方法として一番効果的だなと思ったのが、子どもたちに高価な楽器を吹かせることですね。
どの学校も付き合いの深い楽器屋さんがいるかと思うのですが、ほぼそういう楽器屋さんなら「楽器を試奏させてください」と言えば、試奏用の楽器や下ろしてきた楽器を吹かせてくれると思うんですね。
フルートだったら価格別に3本ほど並べて、自分の楽器も含めて実際に吹かせてみると、「楽器が違うだけでこんなに音色が違うんだ」と子どもたちが体感するんですよね。
私たちは教えている立場ですから、やはりいい楽器はいい音が出るというのは分かっていますが、子どもたちはあまりそこまで違いがあるとは思っていない。
ですから、自分が吹いている学校の古い楽器と、新品の楽器ではどれくらい違うのかというのを是非体感させてあげてください。そうすれば、子どもたちは目の色を変えますから。
それで子どもたちが欲しい欲しいと言い出したら、次は保護者への働きかけです。
親のための演奏会を是非開いてください。もしくは本番に出来るだけ足を運ぶように声をかけて、子どもたちが演奏している姿を実感させてあげてください。
保護者の方は子どもが吹奏楽を頑張っているのは分かっているのですが、どうしても自分の目の前にいる娘、息子は家で寝っ転がっていたり、思春期のまっただ中で親にブーブー言う、勉強するする言ってしない、本当に吹奏楽で成長したんだろうかと思ってしまうような姿しか見ていないんですよね(笑)。
でも学校では違うじゃないですか。お手伝いを一生懸命やるし、楽器にも真面目にのめり込む姿を私たちは見ていますから、それを親に見せるんです。
でもそのためには本番がなければできないので、本番を作る。例えば、親のためのミニコンサートを開く。アンサンブルやソロは特に効果的だと思います。
集団で演奏していると、子どもが演奏している姿は見えても音が見えないので、ソロやアンサンブルという形態であれば、子どもが出している音がリアルに聴こえますから、そういうのを見て「うちの子も頑張っているな」と実感させて、子どもへの体感、親への体感とこの両輪を図ったところで、楽器屋さんに「こういう楽器はどうでしょうか」とプレゼンをしていただくような保護者会を設ける。そこで、「高校に行ってもこれくらいの楽器なら続けられますよ」など、いろんな謳い文句を言って、買ってもらうというのも効果的だと思います。
私は入部するときの条件で、個人的に楽器を買わなければいけないという項目は設けていないので、おそらく100を超える部員数がいるのだと思いますが、やはりできれば買ってほしい…。ですから、「こういう楽器を買ったらいいよ」だけではなくて、是非体感させてから楽器を薦めてあげてください。
あとはパートの中で一人でも買うといいですよね。買いそうな生徒にはどんどん薦めて、褒めて、その気にさせてみてください。パートで全員揃えるのは難しいと思いますが、まずはパートで1本を目標にして、それからいろいろ動いてみてはいかがでしょうか。
次回も引き続き、出来る範囲でお答えしていきたいと思いますので、ご質問やお悩みがあれば、是非お気軽にご一報いただけると嬉しいです!>>質問フォームはこちら
それでは、いよいよ新学期が始まりましたが、頑張っていきましょう!!!
大学時代から外部講師として指導経験を積み、前任校の埼玉県吉見町立吉見中学校で教員1年目から吹奏楽部の顧問に。これまで地区大会で賞をとったことのないバンドをゼロから指導し、就任1年目で地区大会銀賞、2年目に県大会、3年目に西関東大会進出。4年目には2012年全日本吹奏楽コンクールに初出場、金賞獲得という快挙を成し遂げた。
青木中学校を全国大会に導いた
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全国大会に挑む同部に密着!!