【2】イチカシは一日にして成らず!!緻密な演奏の舞台裏に迫る!
「イチカシは一日にして成らず!!緻密な演奏の舞台裏に迫る!」
吹奏楽王国・千葉県を代表する柏市立柏高校(通称・イチカシ)。
部員数260名以上、全日本吹奏楽コンクールや全日本マーチングコンテストなどでは常連校として知られています。
特に、全日本吹奏楽コンクールは2015年度まで26回出場で金賞15回という華々しい成績を残しており、全国の吹奏楽ファンにその名を知られています。
単に好成績を残しているだけでなく、ふくよかでツヤのあるイチカシサウンドは聴く人の心を魅了し続け、全国にファンもたくさんいます。
「どうしたらイチカシのような感動的な演奏ができるのだろう」と思っている指導者の方、あるいは吹奏楽部の生徒たちも多いのではないでしょうか?
言うまでもなく、オザワ部長もその一人です。
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忘れもしない2013年の全日本吹奏楽コンクール・高校の部。
市立柏高校はもっとも不利だと言われている午前の部のトップバッターで出場しました。
オザワ部長は客席で開会式が始まるのを待っていたのですが、まだ薄暗いステージに現れたのはイチカシの顧問(現在は総監督)であり、名指導者として名高いあの石田修一先生でした。
石田先生は厳しい表情で指揮台に上がると、誰も座っていないステージ上の椅子や譜面台を見つめ、歩幅で距離を測りながら椅子の位置を入念に調整していました。
ぎりぎりまで妥協を許さずに、自分の目指すものを追求するその石田先生の姿に、オザワ部長は畏敬の念を覚えずにはいられませんでした。
そして、コンクールが始まると、最初に登場したイチカシは朝一番とは思えないめまいがするほど美しい《ファントム・ドゥ・ラムール〜幻影〜》(天野正道)を披露。文句なしのゴールド金賞を獲得したのです。
それだけではありません。
翌年の2014年度も朝一番で金賞、2015年度は後半の部のトップバッターでまたまた金賞!
破竹の勢いで黄金街道を驀進し続けているのです。
なぜイチカシは驚異的なパフォーマンスを継続できているのかとずっと気になっていました。
そんな市立柏高校吹奏楽部を率いる石田先生の指導メソッドが凝縮されたDVDがいよいよ発売。
注目しないわけにはいきませんよね!
DVDは、石田先生が1978年の市立柏高校開校と同時に吹奏楽部を創設し、数えきれないほどの苦労や辛酸を経験しながら確立してきたノウハウは、イチカシサウンドを目指すすべての方必見です。
なんと基礎は「笑う練習」から始まるのですが、「楽器を鳴らす前に楽器に空気を入れる」、「アンブシュアのチェック」、「倍音の練習」、「ユニゾンスケール練習」など、このDVDにはイチカシが日ごろから取り組んでいる練習方法が非常に詳しく収録されています。
一方、楽曲練習では、一人ひとりが楽譜上の音符の数を数え、すべての音をロングトーンで吹いていく、という驚くべき練習方法も明かされています。
DVD内では課題曲だった《マーチ「プロヴァンスの風」》(田坂直樹)を例にして実演されていますが、すべての音をロングトーンするとB♭クラリネットで約1時間3分もかかるのだとか!
また、部屋や時間を割り振り、楽曲内で同じフレーズを吹く生徒が集まって練習をする「パート練習」ならぬ「パーツ練習」という方法も披露されています。
他にも、練習に臨む生徒たちの表情や態度、音楽室の張り紙、基礎練習中にパーカッションがしていることなど、ちょっとした映像にも部活運営に活かせるヒントがたくさん散りばめられています。
このDVDは「イチカシと合同練習しているような感覚で使える」形式で制作されています。
ぜひ石田先生が編み出したメソッドを観て、一緒に体感して、そこからご自身のオリジナルな指導方法とサウンドを生み出すための道しるべにしていただけたらと思います!
①徹底した基礎練習
「市立柏高校くらいになると、生徒は基礎もしっかりできているから楽曲練習が中心かな?」と思いがちですが、豊富なメニューで徹底した基礎練習を行っています。
このDVDでは、基礎練習中に指導者が留意すべきポイントもきちんと語られています。
②コラール練習は毎年同じ曲を
基礎練習の最後に行われるコラール練習。
毎年、決まって《ロンドンデリーの歌》と《蛍の光》を演奏するそうです。
石田先生によれば、過去の先輩たちの演奏と今の現役との比較ができるからだとか。
同じ代でも年度始めと年度末で比較が可能になるでしょう。
③イチカシは一日にして成らず!
基礎練習から楽曲練習まで、イチカシでは一切の妥協を排して練習を積み重ね、あの豊潤なサウンドを作り上げていきます。
地道な努力の日々が大切だということが改めてわかります。
石田先生メソッドを取り入れ、感動的な演奏を目指しましょう!
神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部卒。吹奏楽の楽しさを伝えるために書籍、雑誌、ウェブサイト、ラジオ、SNSなどのメディアで日夜活動中。著書に『みんなのあるある吹奏楽部』、『翔べ!私たちのコンクール』、『あるある吹ペディア』、『吹部ノート』など。最新刊はカリスマ指導者・藤重佳久先生との共著『きばれ! 長崎ブラバンガールズ』。
【1】Let’s Get Funky!! 武商サウンドが吹奏楽を変える?!
【3】洗練された明るい高輪台サウンドを作り出す㊙練習法とは?
【4】小平三中の新たな伝統を形作った『澤矢メソッド』と『心の絆』
市立柏高校吹奏楽部のあの柔らかいサウンドは
完璧にシステム化された練習から生まれる!!